いわゆる「プリウスシフト」は言われているほど問題のある機構なのか



2023-08-03 00:26:51
「プリウスミサイル」
コンビニへの突入事故や暴走事故など、プリウスの事故はネットでよく目にする。

そんな事故があると大抵言われるのが「シフトパターンが悪い」という意見。
これは本当なのだろうか。

普段はいわゆる普通のストレート式シフトのAT車に乗っているが、代車でハイブリッド車を借りた印象から疑問を持った。


「シフトレバーが中央に戻る」のは本当に悪いことなのか


プリウスシフトに対してよく言われる問題点の一つが「シフトレバーが常に中立位置に戻るので現在のギアポジションがわからない」。

これに対して困るシチュエーションはどのような場合だろうか。

おそらくこの「現在のポジションがわからないと困る」のはストレート式シフトAT車特有の問題だ。
ストレート式シフトは一般に「P-R-N-D-L」となっている。
そのうえで、「どこまでシフトレバーを引いたか」によって状態が切り替わる。
ゆえに「ちゃんとDまで引いた」ことを確認しないと実はNに入っているかもしれないという状態が発生しうる。

その点、プリウスシフトはDに入れたければ右下に、Rに入れたければ右上にレバーを倒すという操作になる。
シフトレバーの位置によるあいまいな状態というのがないのだ。

PからDやRに操作をする際、「横・下」「横・上」となるのでNに入ってしまうのでは?と思われるかもしれないが、
PからNへ入れる操作は「横へ長押し」なので、誤操作によってNになる可能性は低い。

また、シフトレバーが常に中立位置に戻ることによる利点も存在する。
現在の状態にかかわらず、変更操作が常に一定となるのだ。

PからRに入れるのも、DからRに入れるのも常にシフトレバーの操作は「右上」になる。
これがストレートタイプのATの場合、「PからRへ入れる場合は1つ手前に引く」「DからRへ入れる場合は2つ奥に入れる」と、状態によって操作が異なってしまう。
ストレート式シフトATの車を長く乗っているものからすれば悩まずに操作できるが、それは操作性の良さからではなく学習効果・慣れからくるものである。

※PからR、PからDへの操作はプリウスシフトでも、ストレートシフトでもブレーキの踏み込みが必要

アクセルを踏んだ状態で「N」から「D」、「R」に入るからロケットスタートする?


某記事でこのような動作が事故につながるという指摘があった。

まず、停車時にNに入れるには上記の通りN側への長押しが必要なので、意図せずこの操作を行うことはまずない。
そしてN状態でアクセルを踏むと警告が発せられる。
さらにそれも無視してDやRに入れると踏み込み量に応じて急発進する。

Nへ長押し・アクセル踏み込み・警告を無視して・シフトを操作。
合計4段階にも及ぶ間違いを行って初めてロケットスタートの危険が生じる。

ついでに、普通のAT車でも同じである。
ストレートATの車でもアクセルをふかした状態でも「N」から「D」や「R」に入れるような操作はできるのだ。

シフト機構の問題ではない


上記の通り、機構自体に問題があるとは考えにくい。
当然これまでとは形式が違う以上、慣れは必要になるが事故に直結するような仕組みでもない。

事故の調査記録等を見ると、いわゆるコンビニミサイルのような駐車場事故の多くは「ブレーキとアクセルの踏みかえ」で起きている。
要は駐車枠に頭入れしている最中に、停車のためにブレーキを踏もうとして再度アクセルを踏み込んでしまうような操作だ。

対策すべきはシフトパターンではなく、急発進を防止したり、衝突前に停止する自動ブレーキの類ではないだろうか。
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